WORKS

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

台北市、台湾

物販店

50m2

2022.12竣工

数年間の間に、小器のプロジェクトに多く関わる機会をいただいた。その中で、2022年に赤嶺街に設計した3つの店舗は、食堂とワンカップ専門店、梅酒屋というそれぞれが異なるものを売る店舗であるが、お互いにかなり近接した位置に店を構えており、設計過程において、単一の店舗から店舗の集合体へと考え方が発展していった。

赤嶺街は台北の中心部の中山駅にほど近く、細い路地が並列し、それらをつなぐ小さな建物の隙間は迷路のような空間をつくりだしていて、とても魅力的な外部空間を持っている。路地には小さな個人経営のお店が点在し、それぞれの個性が路地にもあふれ出ている。

3つのプロジェクトの内、最初に依頼された小器食堂は達成公園という公園に面しており、住居のエントランスを挟んで隣には小器生活という同じオーナーの雑貨屋があった。そこで小器生活と素材感やしつらえを合わせることで同じ小器の雑貨屋と食堂が並んであることが最大限生かされるように配慮した。

設計途中に、小器の姉妹店となるワンカップ専門店の森商店と梅酒専門店である小器梅酒屋を依頼され、食堂から数十メートルの距離に新たに2つの専門店を設計することになったことから、店舗の設計という考えから、通りを含めた仮想店舗の中に食堂、雑貨屋、梅酒屋、ワンカップ屋が売場として存在するような外部空間を含めた考えに発展した。実際には通りに何かを設置できるわけではないので、どのように仮想店舗を視覚化するかが問題となった。そこで、森商店と梅酒屋には、デザイン的に食堂や雑貨屋とは異なる強いアイデンティティを持たせることで各売り場としてのキャラクターを与え、さらに、すべてのお店を共通の素材でデザインするというデザインコードをつくることで一つの大きなお店(仮想店舗)というつながりを意識の中につくりだすことを試みた。この一連のプロジェクトは小器梅酒屋の完成で一区切りとなり、意識の中に存在する通りを含めた大きなお店舗の中に、食堂、雑貨、梅酒、ワンカップなどの売り場が点在し、同一の素材感を持ちつつも、それぞれが異なるデザインアイデンティティを持つことで違う売場であることを暗示する商業空間をつくり出した。

この赤峰街で意識の中につくられた仮想の店舗空間には、将来、別の売り場(店舗)を加える余地が残され、同じ素材で異なるアイデンティティを持ったお店を増やしていくことが可能である。点であった雑貨屋は食堂により線になり、通りを含めた大きな仮想店舗により面となり、さらなる広がりを許容する商業施設として機能する。

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)

小器梅酒屋(赤嶺街プロジェクト)